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株式会社 九鏡

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鏡四方山話03丙寅話

「綺麗に写る鏡」

ある人(とはかぎらず、多数の人)から、よく”綺麗に(美しく)見える鏡ば作らんですか、よう売れますばい。”と言われるのだけれども、「綺麗に見える鏡」とは何だろうか、といつも悩みます。

「一心如鏡」とは、まさに「何らの歪みも曇りもない、ありのままの姿」を写すからこそ「鏡」であるのだろうと思いますし、”鏡よ、鏡、世界で一番美しいのはだれじゃ”と言いたくなるのも「鏡」。

表面をやや暗めの色にするとか、ガラスのレンズ効果を利用して上下左右の像の比率を変えるとか、イベント用のお化け鏡ならすぐに出来るけど、お化け鏡を洗面所とかドレッサーに取り付けてもおそらくだれも見向きもしないでしょう。

「醜く写る鏡」を普通に作って、時々「正常に写る鏡」を出せばよく売れるかなあ・・なんて思ってみたりも。

ドイツ語の「 Spiegel 」には、「鏡」の他に「模範」「規範書」「法制集」(der Spiegel des Sachsenrechts 「ザクセン法典」など)といった意味があり、英語の「mirror 」にも「模範」「手本」( 「騎士道の鏡」a mirror of chivalry )というのがあり、古今東西「鏡」はありのまま写って、その写った自分を昨日と今日とを比べて反省しながら生きて行く、そのための「鏡」であるということが本来の「鏡」の使命なのでしょう。「綺麗に写る」も「醜く写る」も写った自分の心がきめるといってもよいのだろうと思います。(なんかそういう流行り歌があったような・・「古い奴だとお思いでしょうが・・」)

ついでながら、フランス語の「 miroir 」には「鏡」の他にはそのての意味はないようで、この「 miroir 」の語源になったラテン語の「 mirare 」(多分”ミラーレ”と発音?)は、意味が「見る」ということのようで、冒頭の「ミラーば見らんね・・・」の駄洒落がすこしは復権するかも・・・。

02乙丑話「曇らん鏡」02乙丑話「曇らん鏡」

04丁卯話「鬢鏡」04丁卯話「鬢鏡」