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株式会社 九鏡

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鏡四方山話02乙丑話

「曇らん鏡」

”「曇らん鏡」は、なかですか(ありませんか)”とは、しょっちゅう(いつも)きかれることですが、これがちと難問。板ガラスはもともと熱しにくいもので、これを素材にした鏡を浴槽のそばとか洗面所とか多量の湯気が発生する場所の近くに設置すれば温度差が大きすぎて、鏡の表面が結露するのは必至。

じゃあどうするか。ひとつは、鏡の表面が多量の水蒸気を含んだ空気に直接接触しないようにする方法、あるいは鏡自体をなんとか温めて空気との温度差をできるだけ小さくする方法、とこのふたつくらい。

直接接触を避けるには、表面を透明の薄い「まく」で覆う(塗布するか貼り付ける)。ここで使う「まく」の材料が、半永久的に透明度を保って、しかも剥落しないものが今のところは見当たらない。

次に、鏡を温める方法は、「七輪」とか「火鉢」とか「ガスレンジ」で熱するわけにはいかないので、自動車のリヤガラスと同じ発想で、電気で熱する方法があるのですが、浴槽のそばで電気を使用するのは「漏電」「感電」の危険が高く、せいぜい洗面所までですが、ところが、洗面所に限らず、通常の据え付けの鏡は、サイズがかなり大きい(一枚当たりの表面積が大きい)ため、表面全体に熱線を割当てるにはコストが掛かり過ぎるし、現状のように必要部分のみに熱線細工をすると、ガラスが熱しにくいとはいってもやはり熱が冷えた部分へ逃げていくので、曇りがなくなるまでにかなり時間が掛かる、という短所がある、というわけで現状では「決定打」はなく、よしんばお金を掛けても掛けたほどの効果は期待できないようです。

で、われわれかがみ屋は、浴槽の鏡は手のひらに塗った石鹸で表面をやさしく擦り、洗面所の鏡はドライヤーの熱風で顔が写る部分を乾かすといういたって前近代的方法を未だに採っております。

これが一番のようで・・・はい。

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